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ピアノ

生ピアノに近い電子ピアノを選ぶ時の必須ポイントと、CA701とCLP775の比較検討

25年のブランクを経て、最近ピアノを再開しました。
ピアノは生ピアノではなく、古い電子ピアノです。それも30年くらい前のものです。
さすがに古すぎますし、いつ故障してもおかしくない状況で、現在もその兆候が出ています😢
それに加えて、ここ30年の間の進化は凄まじく、電子ピアノのクオリティは、もう生ピアノと遜色ないところまできています。
古いタッチの良くないピアノで変な癖がついてしまう前に買い換えたいなと思い、検討し始めました。

かなり色々調べて、多くの人の意見を検討したところ、かなり機種が絞られました。

そして絞っていく中で、特に生ピアノに遜色ない電子ピアノを選ぶ上で外せないポイントがあることがわかりました。
今回はそのポイントと、私が絞って最終的残った機種2つの比較検討した結果をまとめました。

特にクラシックピアノに本気で取り組みたい人生ピアノのタッチにとことんこだわりたい人には選ぶ参考になるかと思います。

クラシックピアノ向けの電子ピアノとして必須のポイント4つ

クラシックピアノを本格的に取り組む人にとっては、生ピアノのタッチに近いことが絶対条件です。

本来であれば、グランドピアノを防音室で弾ける環境がベストですよね。
ただ、私を含め、それができない人にとって限りなく近い環境を可能にするための電子ピアノを選びたいわけです。

そこで、絶対に外せない必須のポイントを4つ挙げてみました。

ポイント

  • 木製鍵盤であること
  • 鍵盤のタッチを生ピアノに極限まで近づける機能が装備されていること
  • スピーカーが4つ以上であること(できれば6つ)
  • ハーフペダル対応であること

これらは、必ずお店の人やカタログで装備されていることを確認しましょう。

ではポイントを1つづつみていきます。

木製鍵盤であること

アコースティックピアノの鍵盤は木製ですので、やはり違和感のない木製がよいと思います。
電子ピアノの場合、大部分は樹脂製(プラスチック製)の鍵盤で、私が今使っているものも樹脂製です。
樹脂製だと、打鍵音がカチャカチャとうるさいですし、指が滑りやすいです。
何よりタッチに違和感が出ます。アコースティックピアノのように、指で押さえた時のストンと素直に鍵盤の底に落ちる感じが出ないんですよね。
少しグニャッとした弾力が出てしまいます。それが、手に妙な抵抗感として跳ね返ってくるので、手を痛めるもとになる気もします。
また、弾き方に悪い癖がついてしまう恐れもありますね。

鍵盤のタッチを生ピアノに極限まで近づける機能が装備されていること

材質的な点では意外なことに、木製の方が樹脂製よりも軽くて強度が高いそうです。

安い樹脂製鍵盤は、強度がないため金属の芯を入れて周りを樹脂で囲む形になっており、鍵盤の本体に隠れて見えない部分の長さが短いです。
そのため、鍵盤の奥の方で弾くと抵抗が増し、強く押さえなければいけなくなります。
木製鍵盤だとそれ自体で十分強度があるため、鍵盤の本体に隠れて見えない部分の長さが長くとれるそうです。
鍵盤が長いと、てこの原理でいう支点までの距離も長くとれることになりますので、アコースティックピアノの鍵盤のように自重で自然にストンと落ちるあの感じが出るわけです。
一例をあげると、下の画像の下段はKAWAIのCA701とCA901に使われている鍵盤構造(シーソー式木製鍵盤)ですが、上段のグランドピアノと支点が同じ長さになるように設定されていてます。
そうすることで、グランドピアノに近いタッチが再現できているそうです。鍵盤の奥でも手前でもより均等な力で押さえることができるようになっています。

出典:河合楽器製作所ホームページ https://www.kawai.jp/product/ca901ep/

他のメーカーも、それぞれグランドピアノに近いタッチになるような独自のしくみが施されています。

スピーカーが4つ以上であること(できれば6つ)

スピーカーは、生ピアノに近い響きが欲しい場合は最低4つは必要です。上位機種であればたいてい6つついています。
6つついていれば、グランドピアノの蓋を開けて弾いたように、左右の上方向、下方向、手前方向へと、放射状に音が広がります。
スピーカーが多いほど音に包まれたような生のグランドピアノに近い立体感のある響き方になると思います。

ヘッドホンをつけて練習する場合にも、良いスピーカーでないと耳を痛めたり、タッチと耳に届く響きとの違和感が出たりします。
ある程度以上の機種であれば、ヘッドホンをつけた時にも同様の立体感のある音になるような工夫がされています。

6つ以上になると、価格帯が約25万円以上になりますので、そこは予算の範囲で検討することになると思います。

ハーフペダル対応であること

ハーフペダル機能とは、ダンパーペダル(一番右のペダル)の踏み加減で、音の伸び具合が調節できる機能です。
例えば、ダンパーペダルを踏んで音が響き過ぎたとき、踏み込んだ状態からペダルを少し戻して、音の響きを抑えたり濁りを減らすことができます。

ペダルはピアノ演奏では頻繁に使用しますので、ハーフペダル対応になっていることは必須です。
ハーフペダル機能がより繊細に調整できるものであれば、なおいいと思います。
各メーカーの上位機種では、よりグランドピアノに近い踏み心地を再現しているようです。

アコースティックピアノを製造しているメーカーに絞る

色々なメーカーがあり、考え方も人それぞれですが、私は保守的なところもあり、最初からカワイとヤマハに絞りました。
やはり、アコースティックピアノを長年製作し熟知しているメーカーが作る電子ピアノが一番信頼できるのではないかと思うからです。

その中でも、予算と自分に必要なスペックの兼ね合いで考えて、一番適しているものをそれぞれ1つに絞りました。

ここで、私が注目している機能について、カワイとヤマハの該当機種で違いを下の表で比較しました。

 KAWAI CA701YAMAHA CLP775
鍵盤材質木製(すべての鍵盤、積層合板)木製(白鍵のみ、無垢材)
鍵盤の仕組みシーソー式木製鍵盤
グランド・フィール・アクションⅢ
グランドタッチTM鍵盤
音域の高低差による重みの調整方法音域別ハンマーウェイト88鍵リニアグレードハンマー
カウンターウェイト
スピーカー6つ6つ
ヘッドホンへの効果スペイシャル・ヘッドホン・サウンドステレオフォニックオプティマイザー
ハーフペダル機能グランド・フィール・ペダル・システムGPレスポンス・ダンパーペダル

KAWAI CA701

2022年11月に、CA79の後継品として発売されました。
さらに上の最上位機種としてCA901がありますが、違いはスピーカーの性能のみです(細かい違いは除く)。ヘッドホンをつけて練習することがほとんどの私にとっては、スペック的にCA701で十分です。

カワイは、長年ピアノ製作に特化してきた強みがあり、特に鍵盤に関しては並々ならぬこだわりがあるようです。
コストのバランス的にもかなり鍵盤とタッチに集中しているように見受けられます。
まず鍵盤材質は、黒鍵と白鍵すべて木製鍵盤です。すべてが木製というのは他のメーカーでは少ないようです。

鍵盤の仕組みは、グランド・フィール・アクションⅢという、カワイの機種の中では上位2機種に採用されている最高峰の木製鍵盤アクションです。細部に至るまでグランドピアノに限りなく近づける設計になっています。

さらに、白鍵・黒鍵ともに音域別に4段階に分類した音域別ハンマーウェイトを採用し、88鍵すべてにカウンターウェイトが搭載されています
これにより、強打時に低音域は重く、高音域は軽く、弱打時はすべての鍵盤が一定の手応えという、グランドピアノ特有のタッチ感となっています。
私としては、カウンターウェイトがついているのに惹かれました。ヤマハでは最上位機種にしかついていません。

スピーカーは6つあり、十分な機能を果たしていると思います。前述のように、CA901とはスピーカーの性能のみ違いがあります。CA901のスピーカーは響板スピーカーというものがついていて、これが素晴らしいらしいのですが、ヘッドホンなしで、ボリュームを上げて演奏してこそ価値のあるもののようです。
私の場合は、住宅事情もあり、大音量で演奏することは滅多にできないので、宝の持ち腐れになってしまいそうです。10万円の差も大きいですし😅

そして、私がよく使うであろうヘッドホン機能ですが、スペイシャル・ヘッドホン・サウンドというシステムが搭載されていて、自然な音の広がりが感じられ、長時間ヘッドホン演奏を続けても疲れにくい設計になっています。

ハーフペダル機能は、グランド・フィール・ペダル・システムが採用されており、グランドピアノの踏み込みの重さを解析して、同じ操作感覚を実現させています。
微妙な踏み加減が必要な時も思い通りにコントロールできます。

YAMAHA CLP775

2020年 8月に発売された製品です。こちらも最上位機種ではなく2番目です。
最上位機種はCLP785はありますが、違いはカウンターウェイトとスプルース コーンスピーカーの有無のみです。
カワイの場合もそうですが、スピーカーに関しては、私の場合、ある程度まで充実していれば最上級でなくてもいいと思っています。
ただ、タッチに関しては最重要視しているため、カウンターウェイトが付いていない点に関しては、悩ましいところです。ほとんど差はないという意見も多いですが…。

鍵盤は白鍵のみ木製となっていて、黒鍵は樹脂製です。その分、木製部分は合板ではない無垢材で選りすぐりの素材だそうです。
長年のピアノ製作からの厳しい目を通した間違いのない材質になっていると思います。

ヤマハでも同じようにグランドピアノに近いタッチになるような構造の「グランドタッチ™鍵盤」が採用されています。
グランドタッチ™鍵盤は、CLPシリーズでは上位2機種のみ採用されていて、ヤマハ電子ピアノでは支点までの距離が最長の鍵盤です。
弾く部分から本体に隠れて見えない奥側の支点までの長さを可能な限り長くすることで、支点までの距離が短くなる黒鍵や白鍵の上部でも弾きやすいタッチを実現しています。

こちらもCA701と同様に、スピーカーは6つあり、十分な機能を備えています。

ヘッドホンに関しても、ステレオフォニックオプティマイザーという機能が搭載されていて、CA701と同様に自然な音の広がりが再現できるようになっています。

ハーフペダル機能は、GPレスポンス・ダンパーペダルが採用されています。踏み出しは軽く、ペダルの効果が出始めるところで重く感じる、グランドピアノのような踏み心地を再現しています。

ハイブリッドピアノは除外

色々探していく中で、私としては特にクラシックピアノを本気で取り組みたい人向けの電子ピアノに絞っていきました。
それで上記の2つの製品に絞ったわけですが、その中で、除外したものがハイブリッドピアノです。

ピアノの内部のハンマーの仕組みはアコースティックピアノと全く同じで、その先が弦が電子機器かの差のみというものです。

弾き心地に関しては、かなり好評なようですが、価格が通常の電子ピアノの倍以上に跳ね上がります。
弦以外がアコースティックピアノと同じであれば当たり前かもしれません。

ただ、やはり結局はハイブリッドピアノであっても、どこまでいっても生ピアノではないんですよね。
また、部品が多くて複雑なだけに故障も多そうな気がします。電子機器は複雑になればなるほど故障もしやすいというのが一般論ですからね。
それに、高価な上に、寿命もあまり長くはありません。
このように検討した結果、ハイブリッドピアノはコスパが非常に悪いと感じました(あくまで個人的見解です)。

そうであれば、タッチがグランドピアノに酷似した電子ピアノでいいんじゃないか、という結論に達しました。
電子ピアノとして割り切って用途や技量に見合う価格のものを購入する方がいいのではないかと思いました。

そして、浮いたお金で定期的にレンタル室でグランドピアノを借りるなどという方法もありますし。

でも、これは本当に価値観とか予算の違いもありますので、あくまで1つの意見としてご参考ください😅

結局どちらにするか?

さて、上記にあげたCA701とCLP775ですが、どちらも必須の4つのポイントはクリアしていますので、選んで間違いのない製品だと思います。

私の感じた印象をまとめますと…

カワイのCA701は、鍵盤へのこだわりが相当強いことがカタログからも伝わってきました。
実際にカワイの電子ピアノは、鍵盤周りにかなりコストを集中させている感じがします。
また、生ピアノのタッチにこだわるという点で、どちらかというとクラシックピアノ向けかな、と思いました。

ヤマハのCLP775は、総合的にバランスがよいピアノだと感じました。
ヤマハはピアノだけでなく様々な楽器を製造していますし、電子楽器の製作の歴史が長いという強みもあり、専用アプリなども充実しています。
多彩な演奏機能、音色、エフェクトなどが装備されていて、クラシック以外のジャズやポップスなどの演奏スタイルにも対応しやすくなっていると思います。

というわけで、選ぶ方向性としては、ざっくりした印象ですが、カワイCA701は、鍵盤のタッチ(グランドピアノに近いタッチ)にとことんこだわりたい人向けヤマハCLP775は、タッチはもちろんのこと電子ピアノとしての充実した演奏機能、アプリ、インターフェイスなどを重視する人向けという感じでしょうか。

で、私はどうするかですが、今のところCA701に気持ちが傾いています。
私が一番重視しているのは鍵盤のタッチがグランドピアノに限りなく近いことです。私の中で練習用の電子ピアノの第一の用途は、他のどこのグランドピアノでも違和感なく弾けるように練習ができることです。それに一番適していて、予算内であるのがCA701かな、と思っています。

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