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ピアノ

ラヴェル「水の戯れ」の難しいところ①

25年のブランクを経てピアノを再開し、1年半が経過しました。

再開早々に、無謀にも弾いたこともない「革命のエチュード」から練習し始め、次に一度は弾いてみたいと思っていた「幻想即興曲」、憧れの「英雄ポロネーズ」と続けて挑戦してきました。

どの曲もまだまだ未完成ですが、忘れないように毎日1回ずつは弾いて、少しずつ完成度を上げていきたいと思っています。

そして、現在、挑戦中なのが、ラヴェルの「水の戯れ」です。

この曲は、私のピアノ歴の中で、一番の難曲です。
現在は地獄の譜読みを終え、次の段階にいるのですが、四苦八苦しています。

今回は、「水の戯れ」を練習していて、特に苦労しているところ、難しいところについて書きたいと思います。

譜読み段階が一番大変だった

この曲は何をおいても、譜読みがとにかく難しかったです。
この曲に挑戦する前までは、ピアノ歴で一番の難曲だった「英雄ポロネーズ」の10倍は譜読みが大変でした(譜読みに限定してのことです)。
逆に、譜読みを終えると、曲を仕上げるまでの距離としては、恐らく半分以上を終えているのではないかと思うくらいです。
まだ譜読みを終えたばかりで言うのもなんですが😅

省略された臨時記号の把握が大変

特に苦労したのが、臨時記号の処理です。
臨時記号は、一旦出てくると、同じ小節内では表記が省略されますよね。
その省略された臨時記号の量は、私がこれまで弾いてきた曲の中でも、この曲が最多でした。
省略された臨時記号のことを、いちいち忘れそうになるんで、気の休まる隙がないという感じです。
そのため、私はあまり楽譜に書き込みはしない方なのですが、省略された部分も全部、臨時記号を書き込むという作業をしました。
こんなことをするのは、これまでのピアノ歴で初めてのことです。

楽譜選びには要注意! 指遣いが書かれていないと致命的

古典派やロマン派は、指遣いが結構わかりやすいというか、多くて2通りくらいしか選択肢がない場合がほとんどでした。

ところが、この曲では、指遣いがすんなりいかないところが多数で、しかも指遣いが何通りも考えられて迷ってしまうんです。

そういう曲なので、私が大失敗したのは、楽譜選びです。
指遣いが全く書いていなかったんです😭
アマゾンで購入したので中身を見ていなかったんですよね。見ていたら買っていなかったです。
これからこの曲に挑戦される方は、楽譜選びには十分お気をつけください。

上級者やプロであれば、指番号はなくてもよいのかもしれませんが、私のような素人は、指番号がないのは致命的に厳しいです。

おすすめしないのは、下の楽譜です。
私はこれを買って大失敗しました。指番号はなく、誤植も少しみられました。
値段は他に比べて安いのですが、やめたほうがいいです。

あまりに使いにくかったので、NHKのスーパーピアノレッスンの楽譜をメルカリで購入しました。
こちらは、多少役には立ちましたが、指遣いも少し納得いかないところがあったりしましたし、あまり詳しくは書かれていません。
また全体的に、教育番組のテキストであれば、もう少し解説を詳しく記載してほしいと思いました。
メルカリやアマゾンで購入できますが、古書の割にはお高めです。
私はメルカリで運良くかなり安値で購入できましたが、あまりおすすめではありません。

あと、書店で立ち読みしたのですが、ピアノピースはやめたほうがいいです。あれも指番号が全くありませんし、1曲しかないので割高です。

私は手元に持っていませんが、書店で立ち読みして、良さそうだと思ったのは全音版の楽譜です。
解説は詳しいし、指番号はぎっしり丁寧に記載されていて、迷う部分は2通りの指遣いが詳しく表記されています。そのため、譜面が若干ごちゃついていますが、それくらい親切な方が私は嬉しいですね。
最初からこれにすればよかったと後悔しています。どうしようか迷いましたが、やはり近日中に購入したいと思っています。

私は中身を全く見ていないのでわかりませんが、春秋社版も好評のようです。

恐らく、ラヴェルは全音版か春秋社版が最適解のようですね。
楽譜選びは、それぞれのレベルでも違ってきますので、一概に言えませんが、上級者でなければ、原典版にこだわる必要はないのかな、と思いました。
中級者レベルであれば、結局は全音とかの日本版のもので十分じゃないかと思います。
やはり、詳しい解説と指番号は必須です。

不協和音に悩まされる

古典派やロマン派であれば、和音も聴き慣れた響きのものが多く、すぐ把握できるのですが、この曲は不協和音がすごく多いので、一音一音拾って把握していく作業が本当に大変でした。

恐らくジャズピアノなどでコードに熟知した人であれば、コードでフレーズごとまとめて把握できると思うので、もっと簡単かもしれませんが、漫然と譜読みをしていると、いつまでたっても音が把握できないんです。
私はコードも少し勉強したことはあるのですが、基本のところで終わってしまっていて複雑なコードはわからないので、結局はじっくり譜面と向き合って地道にやるしかありませんでした。

でも、この不協和音が独特の浮遊感や不思議な雰囲気を醸し出していて、それがまたこの曲の魅力でもありますので、頑張るしかないですね。

繰り返し部分がないので譜読みの省略ができない

これまでに弾いてきたクラシックの名曲の場合、たいていは繰り返し部分が入ります。
繰り返しが出てくると、「ここは譜読みしなくていい!」とホッとして飛ばせるのですが、この曲は最後まで繰り返し部分がないんです。
繰り返しっぽいところはありますが、微妙に変化していたり、調性が変わっていたりするので、結局は全て譜読みしなければいけないくて、コスパが超悪いです。

前半の難所

毎日15分くらいかけて譜読みを続けて半年(長い!)、やっと曲全体を把握できるようになりました。
挫折せずに頑張った自分を褒めてあげたいです😆

ここからが本番の練習です。少しずつ楽しくなってきました😊

ところが、譜読み段階では音を把握するので精一杯だったのが、今度はテクニック的に厳しいところがメチャクチャ多いことに気づきました。

不規則なアルペジオ(4小節目)

この曲は、指の広げ方、ポジションが複雑で不規則なので、別の難しさがあります。
ショパンなどもテクニックは難しいのですが、ショパン本人がピアニストということもあり、指遣いは意外と弾きやすいように気を配られています。
一方でラヴェルは、終始ピアニストにはお構いなしのかなり無謀な動きが多い気がします。
一見優雅な動きなのですが、聴いた印象以上に難しい複雑な動きになっています。

初っ端のこの部分でいきなり難所です。

アルペジオの上り下り全てがシステマチックな動きではなくバラバラな指の広げ方になるので、何度も指に覚え込ませる必要があります。

不規則なアルペジオ+和音の跳躍(11〜14小節目)

この部分は和音の跳躍が何度もあり、3オクターブ分も上へ下へと何度も往復します。
それに加えて、変則的な指遣いをするアルペジオが加わって混乱します。
さらに、アルペジオは指の間隔が広すぎてつらいです。
何度練習してもつっかえるので、いつもため息をついています。

なお、右手の和音の跳躍では、1と4の指または1と3の指で固定してしまうほうが私はやりやすかったです。

不規則なアルペジオ+押さえにくい和音の連続(21〜25小節目)

不規則なアルペジオは終始出没するので、挙げるとキリがありませんが、それにプラスして、右手では押さえにくい指の広げ方をする和音が連続するのがこの部分です。

特に、これまで弾いてきた曲と違うなと思ったのは、2、3、4、5の指の間隔を広げなければいけない箇所が多いことです。
これまでは1と5の指を大きく広げることは多くても、2、3、4、5の指の間はあまり広げることはなかった気がします。
そういう慣れない手のフォーム、不規則なフォームが求められることがとても多くて、部分練習が必要な箇所が盛り沢山です。

手を交差させて弾く箇所(29〜33小節目)

この曲の特徴でもありますが、手を交差させて弾くところが多いです。

ここは、とても綺麗なメロディーの部分ですが、譜読みでメチャクチャ苦労しました。ここを理解するだけで、1週間くらい(1日10分くらいだけど😅)かかりました。

弾いていて右と左が混乱してわけがわからなくなったりもしました。

ただ、意外なことに、譜読みさえできてしまえば、それほど難所ではありません。
ここは譜読み段階限定での難所といえますね。

テクニック的には、スムーズに手を交差することと、和音の中で響かせなければいけない音をしっかり浮き立たせるのが難しいですね。

不協和音の続くメロディーからグリッサンドまで(38〜48小節目)

この部分(38〜48小節目)は難しくなさそうに聴こえるのですが、実はかなりの難所です。
譜読み段階でも臨時記号がすごく多くて大変でした。
そして、いまだにメロディーの把握があまりできていません。
やはり、不協和音が多いせいだと思います。予想通りの動きをしないんですよね。
繰り返し練習して頭に叩き込んでいくしかないです。

そして、指の広げ方が偏っていて、すごく押さえにくい箇所がいくつかあります。
手があまり大きくないので(女性では標準ですが)、大きく広げないといけない箇所では、指が引きつりそうになります。
ペダルでごまかしながらこなすしかないかもしれません😅

そして、この部分の締めくくりは、私のクラシックピアノ歴で初めてのグリッサンドです。
これは、黒鍵のみのグリッサンドなので、うまくやらないと、ごつごつ当たって痛いです😓
私の場合は、2と3の指を使って、主に2の指の側面の第一関節辺りを鍵盤に低めに寝かせて弾いています。
指の腹で弾く人もいますが、私はうまくできませんでした。
あまり何度も練習すると皮が剥けるので、1日2回くらいにしています。

難所は最後まで途絶えず

グリッサンドの部分までの盛り上がりは、すごく綺麗でカッコいいですよね。
有名ピアニストの模範演奏を聴いていてもうっとりします。

ここまでが前半ですが、後半も同様に難所の連続です。
前半に関しては、上に挙げた難所をクリアすれば、仕上がりまで、かなり先が見えてくると思います。

聴いている分には優雅でひたすら綺麗なメロディーなのですが、そんな風に聴こえるようになるまで、私はどれくらい練習すればいいのかと、呆然としています。
なかなか水が戯れている感じにならず、水たまりをビチャビチャと歩いている足音みたいな感じになっています😂

後半については、次回書きたいと思います。

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